米澤房昭著 大丈夫あなたの肌は必ず変わる。

皮膚科のドクターから見た
米澤式健顔はココがすごい!
最先端の知見を活いかしつつも、「目の前の患者さんのクオリティ・オブ・ライフを上げたい」との気持ちから米澤式健顔をクリニックに取り入れた納先生。
ドクターから見た「美しい肌の育て方」についてうかがいました。
“洗いすぎか、落とさなすぎか。みなさん正しく洗えていません”
正しい肌の扱い方を知ってほしい
私のクリニックでは保険診療からピーリング、各種レーザーなどさまざまな治療法を用意しています。その一環として「米澤式健顔」も2016年から取り入れています。というのも、みなさんが「肌の正しい扱い方」をあまりにもご存知ないから。トラブルの多くは「間違った肌の扱い方」に起因するといっても過言ではありません。
わかりやすいところでは摩擦皮膚炎、ナイロンタオル皮膚炎といったものがあります。ゴシゴシとこすることが刺激になり、色素沈着を起こしてしまうというものですね。こういったタオルやゴマージュで、不要な刺激を肌に与えている人が少なくありません。
また、トラブル時の肌の扱い方が両極端だなあ、とも感じます。たとえばニキビに悩んでいる方の中には「刺激が少ないほうがいいから、石けん洗顔のみにしています!」とおっしゃる方がしばしば。中には、「お水のみで洗っています」という方も。それではメイクが落ちないので肌の負担は減っていませんよ、という説明をしなければなりません。かと思うと「ニキビが気になるからゴシゴシ洗っています」とか「1日4回洗顔しているから清潔です!」なんていう方も。これでは肌への刺激が大きすぎますし、洗いすぎです。「肌に負担をかけず、きちんと清潔にする」というのは簡単に聞こえますが、実践するのはとても難しいんです。
不要な角質はトラブルのモトというのは常識
「不要な角質が上に溜たまっていると、新しい皮膚が生まれない」というのはつとに有名な話で、クリニックで行うケミカルピーリングもこの理論にのっとっています。上にのっかった不要な角質を、酸の力で剥いでいるわけですね。ピーリングというと強い施術のように感じられるかもしれませんが、ニキビはもちろんのこと、何にでも過敏に反応してしまうゆらぎ肌やアトピー性皮膚炎にも適用することがあるほど。後者の場合にはサリチル酸マクロゴールなど酸の種類を限定し、濃度や時間、反応などを慎重に注意して行わなければいけませんが、正しく行えばとても効果的。薬の効きが悪かったり保湿がうまくできない肌の表面には不要な角質がついていることが多く、それを上手に取り除いてあげると症状がかなり改善するんです。落ち葉がたくさんのっかっている地面に水をまいても、うまく地面まで到達しないようなイメージでしょうか。毛穴の角質づまりが改善され、ニキビができづらくなったり、炎症後にできた色素沈着の改善が早くなったり。どちらも溜まった角質が症状を悪化させる大きな要因になっていて、そこに働きかけることでかなりラクになります。
そして、このプロセスをごくマイルドに行い、新陳代謝に働きかけているのが米澤式健顔だと思います。初めて先生の施術を受けたときに、顔のくすみがなくなり、目の大きさが1・5倍くらいになったので「これは本物だわ」と。目がシャキッとするのに驚いて、自宅でのケアも始めたんです。その後も何回か施術を受けさせてもらいましたが、両ほほの気になっていた肝かん斑ぱんがほとんどわからなくなったり、鼻のまわりの毛穴が目立たなくなってきたりと、いい変化がたくさんありました。
家族や親しい友人のお子様たちにはアトピー性皮膚炎や皮膚が過敏な方がいるのですが、耳の裏やくびれの部分など、角質が溜まりやすい部分にはときどき軽い炎症を起こします。そんなとき炎症を抑える薬を使う前に、まず、丁寧に洗ってあげることをアドバイスしてみました。すると、それだけで落ちついてしまうことがしばしばありました。角質が溜まるというのはそれくらい肌にとって負担になるんだと実感しました。
“皮膚科領域でも、角質は要注目。さらなる解明が待たれますね”
角質が生まれ、剥がれるメカニズムの不思議
角質というのは肌の最外層にあり、うまくターンオーバーで剥がれていくのが普通です。このターンオーバーの鍵の1つは、角質層より1つ下の顆か粒りゅう層にあります。この顆粒細胞の中に酵素があるのですが、顆粒層の細胞が角質層の細胞になるときに外に放たれて変質し、保湿成分や角質細胞の剥離を促す酵素になるのです。肌というのは、本当にすごいメカニズムで成り立っているのだなと日々思います。
ちなみに、このターンオーバーは約45日間が目安といわれていますよね。基底層で細胞が生まれてから表皮内を4週間。角質層を2週間。その後、剥離するといわれていますが、このスピードはずいぶん個人差や年齢差があるんですよ。以前に、90代の方の顔面の皮膚の手術をする機会がありました。このときは傷を縫合したのですが、通常、顔の傷は代謝が速いですから5日くらいで抜糸します。ところが90代のこの患者さんの場合は傷の修復がなかなか進まず、抜糸まで2週間以上を要しました。ターンオーバーのリズムというのはそれくらい、個人差があるんです。
皮膚科領域でも角質はホットトピックス
こういった、角質層や表皮で生じていることは、皮膚科領域でも最近すごくクローズアップされています。たとえば表皮でNMFに変化するアミノ酸にフィラグリンというものがあるのですが、フィラグリン遺伝子の異常がアトピーにつながるという論文が発表されたのは2006年。私が大学院で研究していた尋常性乾かん癬せんではターンオーバーが通常の8倍くらいのスピードで進んでしまうのですが、ここでも表皮から角質層でのサイトカインという物質のやりとりが注目されています。これらが研究されることにより、以前であればステロイド一辺倒であった治療に免疫抑制剤や、さらにターゲットをしぼった生物学的製剤といった治療が可能となり、幅ができたことで副作用がずいぶん減らせました。ただ、こういった治療と並行して、もっと角質のメカニズムに迫って、多様な治療ができればと思っています。
病気の例は極端に聞こえるかもしれませんが、健康であっても、肌の状態はクオリティ・オブ・ライフを左右しますよね。米澤式のようなきちんとした洗顔を日常に取り入れることで、もっといい状態に導いていければと思います。肌荒れも、乾燥も、赤ら顔やニキビ、アトピーも、正しい洗顔なくしては前に進めません。
もちろん、15分もクレンジングをするのは大変です。私自身も慣れるのに時間がかかりました。でも、たとえばひどいアトピーで顔が赤くなっている方が米澤式で洗ったら白くなるなど、変化を見ているとやらない手はないなと思います。
米澤房昭著「大丈夫あなたの肌は必ず変わる。」内 納さつき執筆部抜粋